日誌

『舎監せんせい』を読みました。

 「『舎監』せんせい ~集団就職の少女たちと私~」(本の泉社)というタイトルの本を読みました。

 本校生の皆さんは、「舎監(しゃかん)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか・・・? 最近では、あまり耳にしない言葉かも知れませんが、辞書を引くと、「寄宿舎で、寄宿している学生・生徒の生活指導や監督をする人」と説明されています。

 この本の著者は、現在フリーライターをされている鈴木政子さんという方で、喜多方女子高等学校の卒業生、つまり、皆さん方の先輩でいらっしゃいます。鈴木さんは、本校卒業後、東京の大学で学ばれ、国語の教員免許を取得されました。その後、大手出版社での勤務を経て、昭和34年からの4年間、首都圏の大手電機メーカーで、「舎監」としてお勤めになりました。この本には、鈴木さんが「舎監」として、「集団就職」の少女たちと共に過ごした貴重な体験が綴られています。

 「集団就職」も、現在ではほとんど聞かれない言葉になりましたが、これは、「かつて日本で行われていた雇用の一形態であり、地方の中学・高校卒業者が、大都市の企業や店舗などへ集団で就職すること」を指しています。「集団就職」した少年・少女たちは、当時「金の卵」と呼ばれ、実際に、高度経済成長期にあった日本を縁の下から支えたのです。9月末まで、NHKで放映されていた連続テレビ小説「ひよっこ」も、「集団就職」や「舎監」がモチーフとなっていましたので、見たことがある人は、イメージが湧くと思います。

 鈴木さんは「舎監」として、国語の授業などを行いながら、工場で働く十代半ばの多感な少女たちの面倒を見ました。日々の生活は、笑いあり涙ありで、様々な出来事が起こります。鈴木さんは、「舎監」として日々悩みながらも、少女たちにとって何が最善であるかを考えながら、優しくそして時には厳しく、少女たちへ惜しみない愛情を注ぎます。

 鈴木さんは、一人の女性として、人生の岐路であれこれ思い悩みながらも、熟慮の末自分自身で「決断」し、そしてそれを「行動」に移して来られました。鈴木さんが、自分自身の人生に正面から向き合い、「勇気」を持ってこれまでの人生を歩んで来られた姿に、私は感動を覚えました。

 「読書の秋」も、大分深まりました。『舎監せんせい』は、本校の図書館に置かれています。本校生の皆さんも、是非、読んでください。そして、かつての「集団就職の少女たち」の姿に、触れてみてください。